一般的に医学生・看護学生が使用している教科書の中では最も図が多く、最も文字が少ないシリーズである。このシリーズは歴史が浅く、カンタン教科書としての知名度は低いが、授業用、定期試験用として極めて利用価値の高い作りとなっている。
「病気がみえる」は高校課程でいうところの「歴史の資料集」的な教科書である。見開き左右2ページを基本に構成しており、右側に各単元の要点が箇条書きでまとめられてはいるものの、あくまで図表、写真が中心であり、それに対する説明が数行程度で加えられている。
こうした構成は、授業や定期試験でとても役に立つ。定期試験の対策は学校のテキストや配布プリントが中心になると思うが、こうしたプリントは文章の説明だけで図表がほとんど載っていない。そこで、プリントと病気がみえると照らし合わせながら勉強することで、学校の範囲に対してオーバーワークにならずに、授業で勉強したことをイメージとして再確認できるのである。
また、通読にそれほど時間がかからないため、全体を通したイメージをつかめるのもいいところである。成書は量が多すぎて通読なんてできない。病気がみえるを通読することで、その科目の全体量や学ぶべき内容を把握できるのはメリットである。2時間もあれば楽に読みとおせる。
病気がみえるの欠点としては、この本だけで独学をするのは難しいというところである。文字が少ないため、初学者は図を見ても何を覚えていいかわからないからだ。そのような人は、成書と併用しながら学習を進めていけばいいと思う。また、索引の掲載語句が使いづらいため、最初のうちはかなりが使いづらい。例えば、消化器の「て」の欄には8個しか単語が載っていない。そのため、何回も読みとおした人ではないと瞬時に検索はできない。
・循環器、産科の評判がいいので、その巻だけを使用してもいい。
・直感的なイラストが多く、初学者などが消化器疾患の全体像をサッと知りたいときに役に立つ。
・症状別病気リストが便利。
・単なる絵だけでなく、心電図、エックス線写真、USなどの画像診断所見が豊富であり、文章だけではよくわからない形態的変化がまさに「見える」。
・慣れない専門用語には訳注が付いている。
・索引が使いづらい。
・内科的な基礎疾患がメインで、国試には足りない部分もある。ただし、循環器や産科は十分と感じる。
分野 | ページ数 | 出版社 | 出版日 | 価格 | Amazon |
消化器 | 336 | メディックメディア | 2010/04 | 3,105円 | ○ |
循環器 | 344 | 2010/09 | 3,465円 | ○ | |
代謝・内分泌・糖尿病 | 245 | 2008/04 | 3,150円 | ○ | |
呼吸器 | 294 | 2007/11 | 3,360円 | ○ | |
血液 | 204 | 2008/11 | 3,150円 | ○ | |
免疫・膠原病・感染症 | 303 | 2009/11 | 3,150円 | ○ | |
脳・神経 | 501 | 2011/03 | 3,990円 | ○ | |
腎・泌尿器? | - | 2011年発売 | - | ○:? | |
婦人科・乳腺外科 | 234 | 2009/04 | 3,150円 | ○ | |
産科 | 352 | 2009/04 | 3,465円 | ○ |